トミー カエルのおもちゃ修理

 修理を依頼されたカエルのおもちゃ。トミー製。


個人所有でなく、保育所であらっぽく使われているおもちゃだそうです。

症状は以下の通り。
・アゴが外れる
・歩かなくなった
・足?についていたすべり止めが紛失

満身創痍のカエル君です。修理できるかな。

向かって右の固定部がもげている

アゴは体と繋がる部分のプラスチックが割れている。

プラリペア♪

ABS板とプラリペアで体とアゴ(頭)をつなぐ部分を再生しつつ補強も入れました。これだけ補強すれば再発はしないのではないかな。

歩かなくなった、は内部でギアが壊れたのでしょう。分解。
モーターしか電気部品がない

分解していきます。

↑写真のいちばん左の部品のカムと軸押さえを兼ねた部品(縦に割れ目が入っている)が割れる→その部品が軸から抜ける→軸も本来はまっているところから脱落→足に動力が伝わらないという壊れ方と思われます。カムの割れをなんとかして、この軸をもどしてやらないといけません。

割れてしまったカムは手に入らないので、大きさの合う真鍮パイプでタガを作ってはめてやって……
割れたカムにタガをはめる

軸に入れ直しました。かなりきつくはまりました。これでカムが取れちゃうこともなくなるでしょう。

タガをはめて径が太った分、ケースの軸受分を削って調整し、タミヤのセラミックグリスでグリスアップ。試運転をすると、それまで空回りしていた足がうこくようになりました。よかった。

おもちゃに使われているギアは樹脂製なことが多いですが、経年劣化でもろくなっていきます。今回のカエル君のギアも脆くなっている兆候があり、修理したカム以外のギアがいつ割れてもおかしくない感触がありました。長生きしてくれよと願うばかりです。


最後に、足のすべり止めゴム。↑の写真では応急処置として青いゴムがはまっています。逆の足からはゴムはなくなっています。こういうゴムは、はまる部分とサイズがぴったりじゃないとダメなのだけど、そうそう都合のいいサイズのゴム輪はありません。

簡単だろうとナメていた

ポリウレタンゴムのコードを溶着して輪ゴムを作ってやります。ポリウレタンゴムはうまく接着するとかなりの負荷に耐えると聞きます。商品名バンコードというオレンジ色のものが有名。

↑写真は失敗を重ねているところ。ポリウレタンゴムを接着する方法としてUV接着剤を使う方法、熱で溶着する方法がありますが、今回は半田ごてを使って熱融着しています。

失敗作たち

話で聞くのと(かなり簡単そうに感じる)、実際に自分で作ってみるのとでは大違い。変な形になったり、サイズがちがってしまったり、すぐにちぎれてしまったり。治具作りも含めると半日以上かかりました。

ドライバで指してるのが作った輪ゴム

なんとかいい感じの輪ゴムを2つ作って、足にはめてやりました。
これで不具合箇所は全部修理できました。

なおった

最初の写真と見かけは変わっていませんが、アゴの固定、内部機構の修理、足のすべり止めゴム装着を終えています。
試運転をすると、しばらくトコトコ歩いた後、口をパクパクさせながらケロケロ鳴き、再び歩き出して… と、歩行とケロケロを繰り返します。ちゃんと動いてる。

驚いたのは、このおもちゃは歩行とケロケロを繰り返す動作を電子部品なしでやっていることです。モーターで動かすギアやカムの機械的な機構だけで歩行とケロケロを切り替えている。
電子部品一個もなしでこんな動作ができるんだと、少し感動した修理でした。

とてもいいおもちゃです。自分用に一個欲しい。


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