プラモをケースや台座に固定する

 完成したプラモをケースや台座に固定

プラモにタップで直接ネジを切ってしまうのが最も簡単で確実です。


親しい人(素人)に完成したプラモを見せて「わー本物みたい〜(棒)」などとお世辞を言ってもらうのはモデラーのこの上ない喜びですが、このとき素人さんが不用意に完成品を触って、プラモを壊してしまって微妙な空気になってしまうと喜び半減です。

なのでプラモは台座やケースに固定して迂闊に触れられない状態で見せびらかしたいのですが、タップという工具を使って固定ネジ穴を作ってやると簡単便利に固定できますよ、という話です。

 タップという工具 

タップはただの穴を雌ネジ穴にする工具です。あらかじめ開けておいた下穴にこの工具をねじ込むとメスのネジ穴を作ることができます。


実際にネジを切るときには上写真に写っている3種類の工具が必要です。僕がオススメするM3サイズのネジ穴を作る時に必要な工具の具体例を下に示します。

  • 下穴開け用の2.5mmドリル刃(写真右:500円くらい)
  • M3ピッチ0.5mmの中タップ(写真中央:500円くらい)
  • タップハンドル(写真左:1000円くらい)
合計で2000円くらい。

写真に写っているタップは3本組タップですが、プラスチックに使うのであれば中タップ一本で十分。またタップが何種類もセットになって売っているいわゆる「芋セット」でもプラモ用なら十分でしょう。

 なぜM3ネジか 

M3ネジは直径3mmのネジですが、プラモを固定するために十分に強さがあり、かつ細く(目立たない)、工具も破損しにくく安価、かつ加工しやすいサイズだからこのサイズをオススメします。

ちなみにタミヤのAFVモデルに「ここにナットを仕込んでください」と言わんばかりに作られているスペースはM3のナットがぴったり入る形状です。

 一般的なタップの使い方 

タップで雌ネジを切る手順は以下の通り。
  • 下穴を開ける(M3並目0.5mmピッチネジの下穴は2.5mm)
  • タップをねじ込む(ネジを切る面に対して垂直にねじ込む)
これだけです。参考に以下のページを読んでおくといいかもしれません。
プラスチックにタップを立てるときは、潤滑剤なんか必要ありません。下穴にグイグイねじ込んでしまって大丈夫です。

 プラモでのタップの使い方 

プラモを台座やケースにビス(ボルト)で固定するとき、タップを使わない場合は、プラモに穴を開け、穴に合った場所にナットを接着してビスで固定できるようにするのが普通です。

ここで問題になるのが、プラモに接着したナットが何かの拍子に外れしまって固定できなくなってしまうことです。ナットが外れてしまえばプラモにはただの穴が空いているだけですから固定なんてできるわけがありません。

しかし、タップを使えば、プラモに穴を開け、その穴に直接タップで雌ネジが切れるわけですから、当然「ナット外れ問題」を根本的に解決できます。そこがタップ加工をお勧めする理由です。


下写真は、タミヤの1/48スケールのチャーチルに固定用のネジを切っているところです。

このキットには特に「ここで固定しろ」みたいな指定はありませんので、適当な場所に穴を開けてタップで雌ネジを切りました。車体部品のプラスチックの厚さが1mm程度でふた山くらいしかネジが切れませんが、プラモならちゃんと固定できます。


下の写真はヨンパチAFVによくあるダイキャスト(金属)製のシャシなキットです。


ダイキャストでもネジを切ることができます。

そもそもタップは鋼を加工するための工具なので、ダイキャストのように加工しやすい材料なら余裕でネジ切りできます。ただネジを切るときに下穴にサラダ油を一滴垂らしておいた方がいいでしょう。


こちらは装甲車です。


このキットの場合、ボディに雌ネジを切って固定するとビスが目立っちゃいそうだったので、タイヤにネジを切って台に固定しています(このキットのタイヤはプラスチック製です)。欲しい場所に自由にネジを切れるのもタップの強みです。


 ビスの長さ問題 

プラモに雌ネジを切って、台座に固定するときには当然ビスを使いますが、そのビスが必要以上に長いとプラモを破壊してしまいます。

したがって、ちょうどいい長さのビスが必要になるわけですが、たくさんの長さのビスを揃えておくのも面倒ですし、ホームセンターに買いに行くのも面倒です。

困ったものですが、電工ペンチという工具を見たことないでしょうか?

電工ペンチ

意外に知られていないのですが、この工具でビスを自由な長さに切ることができます。

ビスをねじ込む

支店付近のネジ穴にビスをねじ込んで、えいやっ!とハンドルを握ると……


きれいに切れます

ビスを切ることができます。ビスのねじ込み量で切断後のビスの長さを調節できるので、欲しい長さのビスがすぐに手に入ります。


しかもこの工具を使うとネジ山が潰れないようにビスを切ることができるので、切ってそのままビスとして使えます。
(普通のペンチでビスを切ると、ネジ山が潰れてしまってビスとして使えなくなりますよね)

電工ペンチは1500円くらいします。ちょっと高いですが持っているととても便利です。
(ときどきビス切断機能がない電工ペンチがしれっと売っていたりするので注意してください。支点付近にネジ穴が空いていることを確認して購入すること)

 まとめとお詫び 

プラモを固定する時にはプラモ本体に直接ネジを切って固定するのがいちばん快適確実だと僕は考えます。ネジを切るためのタップという工具、特にM3のタップを一本持っていると色々便利です。

しかしこの方法は、AFV、ガンプラ、艦船、カーモデルの固定はできますが、航空機のプラモを確実に固定することは難しいです。仮にやるならばM2より小さいネジ穴をタイヤに作って……、となるのでしょうが、繊細な戦闘機の脚に変な負担をかけると壊れてしまいそうで試したこともありません。もうしわけない。

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